沢渡ホタル米ができるまで(2025年編)


①土入れ

3月最終日曜日。ホタル田ライングループで呼びかけたメンバーが、ホタル田の地主の👤氏の家に集まりました。0歳から60代まで。全年代のメンバーで苗箱に土を入れていきます。沢渡で最大の圃場を持つ👤氏の田んぼの分もみんなで作業します。



②種まき

4月第1日曜日。再び👤氏のお宅にメンバーが集まり、前週に土入れした苗箱に、ひとめぼれの種を蒔きます。覆土した苗箱7つを運搬車に乗せて、2棟のハウスに敷きます。その数600枚。すべてが終わったらシートを2重かけして保温します。まだ朝は氷点下になる沢渡。発芽まで1周間から2周間かかり、約1ヶ月かけて育苗します。


③田植え

5月3日。メンバーやメンバーのご家族&友人22名+幼児5名が集まりました。幼児たちには日除けテントを立てて、沢渡保育園を開園。メンバーには教職者が多数。保健室の先生までいます。誰かに責任を負わせないように、代わる代わる子どもたちを見守ります。信頼関係があるコミュニティならではです。

 

田んぼに入るのが初めての方も複数います。3本の苗をつまみ、土に優しく差し込んでいきます。100%昔ながらの手植えです。

 

ときたま沢渡地区の米作り名人のみなさんが激励に来て、手植えの方法を伝授してくれます。稲作には文化的価値もあるので、できる限り伝承するのも我々のミッションです。

 

約2時間で田植えを終えたら、八重桜が満開の焙煎所の庭に移動して労をねぎらいます。さなぶりです。今年は富谷の米粉のパン屋さん「モナモナ」さんのセットにしました。この経費もホタル米の売上から賄っています。



④植え直し&草取り

田植えから1週間後。根が活着できずに雨風で流れてしまった箇所に苗を植え直します。雨がそぼ降る中、5人で作業しました。

 

水面から土が露出している箇所には、早くも雑草が芽を出しています。この雑草も抜いたり、土に埋め込む作業もします。これでかなりの雑草が減らせます。

 

慣行栽培の場合、この先にクリンチャーやクリンチャーバスと呼ばれる除草剤を散布します。沢渡ホタル田ではこの草取り作業のおかげで除草剤を散布する必要がありません。

 

これらの昔ながらの作業によって、減農薬栽培を可能にしています。



⑤草刈り

暑くなってきました。特に今年の暑さは猛烈で、草刈り中に消費した水分は2リットルになった日もありました。

 

草刈りは月に1回のペース。焙煎職人がひとりで担当します。

 

草刈りをしないと、カメムシを寄せ付け、米粒に黒い斑点がついてしまいます。さらに雑草が圃場に侵入することで米の収量低下を招きます。

 

草刈りをすることで、ホタルが減ってしまう因果関係は、今のところ得られていません。

 

風景の保全の意味もあります。特にホタル田は沢渡ホタルの里に隣接しています。手入れの行き届いた里山の風景の保全も重要なミッションです。



🎐ホタルの飛翔

6月から日中の気温が30度を超える日が続き、ゲンジボタルが一斉に羽化。中旬以降は、ひとめ何十匹という風景を楽しむことができました。

 

すべては、このためにやっている活動です。大勢の見物の方に楽しんでいただけて、今年は本当に良かったです。

 

沢渡ホタルの里には、いくつかの仕掛けがあります。

 

まず、ホタルの里の入口にテントを張り、居酒屋の提灯をぶら下げて、沢渡集落のみなさんが毎晩集まり、ビールを飲んで過ごします。

 

見学の方がお見えになると、「んで案内しましょう」と誰かが行きます。要するにホタルの里の案内ボランティアをしているのではなく、地域のみんなでビールを飲んでいたら、たまたま見物の方が来たので案内しているのです。

 

「同じじゃない?」と思われるかもしれません。いえいえ。ボランティアは継続が難しいです。我々は、自分たちの楽しみのために、毎晩集まっているのです。証拠にもう8年続いています。


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もうひとつは『ほたるのおんがくさい』の実施です。

 

沢渡ホタルの里の保全活動にも積極的に関わっているメンバーに、偶然、音楽愛好家が多いことから企画されました。

 

前述の居酒屋同様、自分たちが楽しむことを目的に。そして楽しみをシェアすることを手段に。今年で3回目の開催でした。

 

今年は吉田小学校の元校長先生や、OBの参加により、地元と地域に根ざした音楽祭になりました。観客も彼ら彼女たちの同級生だったり。大きな声援を受けて、とても盛り上がりました。

 

これらの活動は、沢渡にホタルがあってこそ。

 

大和町は『自然が豊か』と言われます。沢渡にとって、その具現こそホタルなのです。

 

ホタルを中心に描かれる、沢渡での幸福な暮らし、豊かな文化、そして身近な自然をこれからも大事にしていくのが、私達のミッションです。



⑥稗抜き

ホタルの飛翔の時期に、ホタル田の水を抜いて乾かします。これを「中干し」と言います。水がなくなった田んぼの土壌が乾くと、稲は根を張らせます。健全な稲を育成するための大事な作業です。

ところが今年はこの中干し時期に、これまで経験したことがない高温と渇水に見舞われました。

中干しが終わった後も降雨がまったく無く、沢渡の沢水が枯れてしまったのです。出穂期と登熟期という、収穫に直結する大事な時期の水不足は本当に深刻でした。

このタイミングで稗が大量に発生しました。

稗は放って置くと、翌年以降も大発生してお米の収量を下げます。抜かねばなりません。

そこで緊急措置として稗を抜く作業の告知したところ、何人かのホタルたメンバーが集まってくれました。残暑厳しい中、足掛け2日で稗を撲滅できたホタル田は、風景も良くなりました。



⑦稲刈り

今年の稲刈りは11人が集まりました。例年の半分以下の人数です。さて、どうなることやらと案じたのも杞憂に。みなさん数年の経験により、いつの間にかエキスパートになられていて、1反のホタル田を2時間で刈り終えました。

稲刈りにはバインダーという機械を使います。操作してくれるのは、ホタル田の近所の住むTさん。米作り50年以上の大ベテランです。沢渡では数少ない天日干しをする農家でもあります。

Tさんがバインダーで刈った場所に棒杭を突き刺し、斜め棒を差し込んで固定して、転倒を防止します。ちなみに今年は1本も倒れませんでした。棒を立てる作業もエキスパート化しったようです。

稲束を集めてほんにょをつくります。エキスパートのみなさんの手際により、あっという間に完成。焙煎所に戻って慰労会。みなさん本当にお疲れさまでした。

稲は約1ヶ月かけて天日干しします。



⑧ほんにょけぇし

稲刈りを終えた9月中旬以降は、毎日晴天が続きました。稲も順調に乾き、2週間後に南側の列の上部の籾を20粒ほど採り、水分チェッカーで計測したところ15%でした。この水分量であれば脱穀は可能です。

北側の列の下部の籾は18%ほど。この数値では脱穀できません。15%以下が目安です。

よって、ほんにょの下部と上部を入れ替える作業をします。これがほんにょけぇしです。標準語ならほんにょ返し。南北も入れ替えます。

今年は家族総出で行いました。3歳と2歳の子どもたちも、ついに田んぼで作業するようになったのです。


少子高齢化がとんでもない勢いで進む当集落で、唯一の稲作に従事する子どもとして、今後も大いに活躍してくれるでしょうか。どうなんでしょうか。